巻頭言

6月の巻頭言

イエス、良い牧者

ダファーダー・ドミニク

カトリック教会の典礼暦において、復活節第4主日は「良い牧者の主日」と呼ばれています。「私は良い羊飼いである。良い羊飼いは羊のために命を捨てる」(ヨハネ10:11)

このヨハネによる福音書の言葉を通して、イエスは私たち一人ひとりに優しさをもって語りかけてくださいます。羊飼いは、常に羊を導き、愛し、見守り、世話をする存在です。自分の利益には無関心であり、危険に直面しても逃げることはありません。イエスは、すべての人の救いのために十字架上で命を捧げられました。

羊飼いと羊の間に結ばれる絆は美しく、羊は信頼をもってその導きに従います。信仰生活において、イエスと洗礼を受けた人々との関係は、何よりも尊いものです。イエスは、良い羊飼いとして、私たち一人ひとりを大切に思ってくださいます。そして、私たちを一つの群れとして集めようとされています。「私は この囲いに入っていないほかの羊もいる。その羊も私の声を聞き分ける。こうして、羊は一人の羊飼いに導かれ、一つの群れになる」(ヨハネ10:16)。弱く、罪深い私たちに対しても、イエスは裁くことなく、愛をもって守り、ご自身の背に乗せてくださいます。迷いや困難の中にあるときも、イエスは私たちを探し出し、優しく呼びかけてくださるのです。そして、何よりも素晴らしいのは、イエスが私たち一人ひとりの「名前」を知っていてくださることです。これは、イエスと私たちとの間にある深い信頼の証しです。

イエスは、聖ペトロに特別な使命を与え、ご自身が建てた教会を導くよう託されました。「私の子羊を飼いなさい」(ヨハネ21:15)、「私の羊の世話をしなさい」(ヨハネ21:16)、「私の羊を飼いなさい」(ヨハネ21:17)。ペトロは最初の教皇として教会を導き、自らを捧げてその使命を果たしました。その後も歴代の教皇たちがこの使命を引き継ぎ、今日に至るまで教会を導いています。

現在の第267代ローマ教皇には、アメリカ出身のロバート・フランシス・プレヴォスト枢機卿が選出され、「レオ14世」の名をもって奉仕されています。サン・ピエトロ大聖堂の中央バルコニーからの最初のご挨拶では、「すべての人に平和がありますように」と語られました。その言葉は、復活されたイエスが弟子たちにかけた挨拶と同じです。新教皇レオ14世は、教皇として迎えた最初の日曜日のお告げの祈りにおいて、「二度と戦争を起こしてはならない」と世界のリーダーたちに訴えられました。

現代の世界には、イエスの平和と赦し、そして愛が必要とされています。良い牧者であるキリストに従う私たちも、それぞれの場で「小さな牧者」として生きるように招かれています。イエスの声に耳を傾け、その導きに従いましょう。家庭で、職場で、学校で、地域で——誰かを支え、導き、励ますことによって、イエスの平和と愛を広げていくことができるのです。どんな困難にあっても、私たちは一人ではありません。イエスは、常に私たちとともに歩んでくださいます。神を信頼し、神から力と勇気をいただきながら、良い牧者である主イエス・キリストに従ってまいりましょう。

*「巻頭言」は、カトリック雪ノ下教会、教会報「ひびき」掲載記事から転載しています。(広報部)