キリスト教の輪郭書評

『キリスト教の輪郭』

百瀬文晃(ももせ ふみあき)著
女子パウロ会、1300円+税
1993年10月 初版発行、2020年1月(第18刷発行)

人へ、そして自分自身にキリスト教を「伝える」ために

初対面の人と名刺を交換するように「ひとまずキリスト教と顔見知りになってもらうため輪郭を描いた」と筆者は述べています。

読んでみると、キリスト教をおぼろげにしか知らない人でも何となくわかるように、平易な文章でキリスト教の本質が語られています。「神の福音」「教会」「信者は何を信じているのか」が書かれ、キリスト教ってこんな宗教なんだということが分かるでしょう。 その点において、キリスト教入門書の王道と言ってもよいかもしれません。(これだけ重版を重ねているのは、必要とする人が多いからではないでしょうか)

ですがこの本の最大の魅力は違うところにあります。「キリスト教の福音は、一つの呼びかけをなしています。それはこれまで考えてもみなかったような新しい価値を語っています。キリスト教というものを少しでも理解し、そこにそれぞれの人生に対する呼びかけを読みとってくだされば幸いです」(あとがきから)

じつは百瀬神父が世の中全体に(とりわけ見えない何かを求めているすべての人に)向けて神の愛について熱く語りかける本でもあるのです。その意味で初心者はもちろん、信仰生活の長い信徒にもぜひ一度、読んでいただきたい一冊です。

(カトリック雪ノ下教会ではキリスト教入門講座でこの本をテキストとして使っています)

2020年3月教会報 「ひびき」より転載